こんにちは、ポンクレーです。
今回はレーシングカートをこれから始めたい、あるいは最近始めたばかりという方に向けて、中古のレーシングカートを買う時のポイントについて解説していきます。
あなたは良い感じのマシンを安く買いたいですか?
(もちろん僕は買いたいです!!)
中古のレーシングカートを良い買い物できると初心者にはとてもありがたいですよね。
十分な戦闘力(フレームの強度寿命)を保っている、前オーナーによって細かいセッティングがされている、それでいて新車より安価という掘り出し物もあります。
しかし、初心者の方は良い買い物をするのがめちゃくちゃ難しいです。
その理由は大きく分けて3つあります。
- 十分な戦闘力(フレームの強度寿命)が素人目では測れない
- パーツが多すぎて結局どこを見るべきか分からない
- マシンの総合的な市場価値(価格)がそもそも分からない
さらには「中古カートを買う時のチェックポイント」について解説しているサイトも無いので、粗悪品を掴んでしまう可能性があります。(そのためのこのページですが…)
このサイトだけで全ての中古カートのチェックポイントは網羅することは残念ながら不可能です。
そのため、せめて初心者の方々に「これを見つけたらそのマシンは避けて!!」という視点だけに絞ってお伝えしたいと思います。
ちなみにこの記事ではショップで実物を見た際のシチュエーションを想定しています。
ご自身が命を預けるかもしれない商品をまさかまさか通販で買うなんてことは想定していませんのでご容赦ください。
大まか注意点から細かい部分の順で説明していきます。
それでは行ってみましょう。
- 中古のレーシングカートを購入する際に注意すべきポイント
- 購入する前にチェックしておきたい実物マシンの箇所
- エンジンマウントの塗装の下にヒビが入っていないか
- ベアリングホルダーの溶接部分にヒビが入っていないか
- シートステーの溶接部分にヒビが入っていないか
- フロアパネル装着部の溶接にヒビが入っていないか
- ナックルの溶接部分にヒビが入っていないか
- フロントバンパーの溶接部分にヒビが入っていないか
- リアバンパーを差し込む部分にヒビが入っていないか
- フレーム全体に曲がりや歪みがないか
- ステアリングシャフトが曲がっていないか
- リアシャフトが曲がっていないか
- ブレーキオイルが抜けていないか、ブレーキパッドが極端に削れていないか
- ベアリングホルダーやその周辺のネジが抜けていないか
- タンクの底が削れていないか、タンクの接地面(フロアパネル側)がひどく汚れていないか
- 個人的に信頼しているレーシングカートショップ(店主を知っているため)
- まとめ
中古のレーシングカートを購入する際に注意すべきポイント
それではまず、購入する時の注意点についておおまかに説明します。
こちらは実際のマシンを見るのではなく、販売店から説明を受ける時を想定した内容です。販売店からこれらの説明が無ければ、必ず自分から質問をしたほうが良いでしょう。
使用期間とメンテナンス履歴の確認
レーシングカートの過去の使用状況や期間、定期的なメンテナンス記録を確認してください。事故歴や重大な修理があったかどうかを把握することが重要です。
エンジンの状態、走行距離
エンジン付きの場合はエンジンの状態について聞いておきましょう。
走行距離が多い場合、エンジンの消耗が激しい可能性があります。
そしてエンジンの消耗が激しい場合は、点検や消耗品交換(オーバーホール)が必要になります。
フレームのチェック
フレームのへこみやひび割れがないか状態を確認しましょう。
変形やダメージがあるとどんなに頑張っても速く走ることは出来ません。
レーシングカートの新品を戦闘力100とすると、使用期間や頻度・事故具合によって戦闘力が落ちていく代物です。
部品の状態
タイヤ、ブレーキ、ステアリングなどの各部品の状態をチェックしましょう。
消耗が激しい部品は交換が必要になる可能性があります。
価格と比較
他の同じモデルの中古カートの価格と比較検討することで、相場や適正価格を把握しましょう。(こちらは初心者の方には難しいため、僕が店主を直接知っているショップを後ほど記しておきます。近いショップがあれば参考にしてください。)
テスト走行
可能ならば、実際にテスト走行してみて、カートのパフォーマンスや操作性を確かめることが重要です。
これらのポイントを注意深くチェックすることで、中古のレーシングカートを購入する際のリスクを抑えることができます。
購入する前にチェックしておきたい実物マシンの箇所
さて、いよいよ自身の目で確認しておいたほうがよいマシンの箇所について解説していきます。
チェックする箇所の全体像としては
- ヒビが入りやすい箇所のチェック
- 曲がり、歪みのチェック
- 装備品のチェック
という流れになります。
そして、ヒビが入っているマシン、曲がりや歪みのあるマシンは避けた方が無難です。
これらの問題が無いことを確認したあとに、装備品の消耗度を確認するほうがスムーズです。
マシンにヒビが入っている場合、マシン寿命自体が長くない可能性があります。
そもそも修復して使えるなら、ヒビ程度は溶接して使ってしまいます。
そのため、使用期間が長く修復してもまたすぐにヒビが入ってしまうために売られた、という可能性もあります。
また、曲がりや歪みがあった場合は、過去に何らかの事故(クラッシュ)が遭った可能性が高いです。
レーシングカートは走行中のたわみが強いため、普通に走っていても曲がり(捻じれ)ます。
そのため、捻じれ程度であれば修復して乗ってしまいます。
曲がりや歪みのあるマシンは大きなクラッシュをした、という可能性があります。
全体像の説明が少々長くなってしまいました。
それでは購入する前に実物の見ておいたほうが良い箇所を解説します。
- エンジンマウントの塗装の下にヒビが入っていないか
- ベアリングホルダーの溶接部分にヒビが入っていないか
- シートステーの溶接部分にヒビが入っていないか
- フロアパネル装着部の溶接にヒビが入っていないか
- ナックルの溶接部分にヒビが入っていないか
- フロントバンパーの溶接部分にヒビが入っていないか
- リアバンパーを差し込む部分にヒビが入っていないか
- フレーム全体に曲がりや歪みがないか
- ステアリングシャフトが曲がっていないか
- リアシャフトが曲がっていないか
- ブレーキオイルが抜けていないか
- ブレーキパッドが極端に削れていないか
- ベアリング周りのネジが抜けていないか
- タンクの底が削れていないか
- タンクの接地面(フロアパネル)がひどく汚れていないか
確認箇所がけっこう多いと思われるでしょうが、これでも漏れがないか不安なくらいです。
他のベテランの方々から抜け漏れの指摘をいただいてしまいそうです。
それではひとつずつ画像付きで解説します。
全ての画像はトニーカート本社(https://www.tonykart.com/index_en.php)のWEBサイトから引用しています。
エンジンマウントの塗装の下にヒビが入っていないか

写真の丸を付けた箇所がエンジンです。
そして、エンジンをマシンに取り付けている器具をエンジンマウントと呼びます。
エンジンマウントは動力源であるエンジンを押さえるために、太いネジをとても強い力で締めこんでいます。
そのため、ヒビが入りやすい箇所ですが、塗装の剥げと重なってかなり見づらいです。
必ず注意深くチェックしてください。
ベアリングホルダーの溶接部分にヒビが入っていないか

ベアリングホルダーはその名のとおりベアリングを支えている部分です。
捻じれたり動いたりとマシンの強烈な動きを一手に抑えているため、とても大きな負荷がかかっています。
溶接されている部分、そしてすき間が近い部分はヒビが入りやすいです。
右側2か所、左側に1か所ありますので必ずチェックしましょう。
シートステーの溶接部分にヒビが入っていないか


シートステーとはシートとフレームを繋いで、シートを支える突っ張り棒のような部品です。
暴れまわるマシンを押さえ込み、かつシートに動きを伝達しているため、大きな負荷がかかっています。
注目するべきは銀色のステーではなく、メインパイプから直接伸びているステーです。
これが折れるとマシンがグリップしなくなります。
左右に1か所ずつ、シート裏に2か所あるので必ずチェックしましょう。
フロアパネル装着部の溶接にヒビが入っていないか

写真が見づらくてすみませんが、いかにもかかとを置きそうな底面のカラフルな鉄板がフロアパネルと呼ばれる部分です。
メインフレームに比べると薄いため柔らかいですが、マシン全体の動きを各部に伝達する重要な部品です。
もちろんこのフロアパネルの剛性もマシンには欠かせません。
鉄板を裏面から見てヒビや折れなどが無いことを必ず確認しましょう。
ナックルの溶接部分にヒビが入っていないか

高速で転がるフロントタイヤの舵切りを支える部分です。
マシンの操縦性に関わる部分なので負荷がかかる上に、通常運転するだけでもとても重要な箇所です。
これらが折れてしまうと自分だけでなく、他のドライバーにも危険が及ぶため、関連する部分は必ず確認しましょう。
さらに、ナックルを支えるメインフレーム部分(矢印の裏あたり)にも溶接部分があるのですが、ごくまれにヒビが入っているケースがあるため確認しておきましょう。
また、メインフレームとナックルを繋げているネジ(キングピン)は、消耗は激しいですが実状が分かりづらいため、折れていなくても新品に取り換えておいた方が無難です。
同時に金色の棒状の部品(タイロッド)も真っすぐになっているか確認をしておいた方が良いでしょう。
フロントバンパーの溶接部分にヒビが入っていないか

フロントバンパーは気付かれにくい部分ですが、意外とヒビや折れが発生しやすいです。
メイン部分と比較するとわずかな剛性しか担っていませんが、折れやヒビがあると不調をもたらします。
しかも気が付きにくいので、購入後もちょくちょく確認をしておいた方が良いでしょう。
リアバンパーを差し込む部分にヒビが入っていないか

リアバンパーなので言わずもがなですが、マシンの剛性を担う重要な部分です。
走行時のマシンの捻じれや歪みを受ける部分でありながら、左右1か所ずつで支えているため大きな負荷がかかっています。
またマシンをスタンドに乗せる際に持つ部分でもあるため、亀裂のようなヒビがよく入る部分です。
また、ごくまれになぜか真ん中の赤丸部分にヒビが入っている場合があります。
念のため確認をしておいた方が良いでしょう。
フレーム全体に曲がりや歪みがないか
フレームの曲がりや歪みは写真では説明しづらいためすみませんが割愛します。
見方のコツとしては本来左右対称であろう形状が左右対称でない、あるいは妙にいびつに見えるなどを発見したら控えた方が無難です。
また、マシンを地面に設置させ、ステアリングを左右に目いっぱい切って確認する方法があります。
ステアリングをどちらかにいっぱいまで切るとフロントタイヤが浮きます。
このフロントタイヤの浮きは自然な動きですが、フレームが歪んでいるとこの浮き具合に左右で差が出ます。
これによってフレームの歪みを確認する方法もあります。
余談ですがサイドバンパー(サイドボックス)は、ちょっとした曲がりであれば案外気にせず走ることが可能です。(程度によります)
ステアリングシャフトが曲がっていないか

ステアリングシャフトとは、ステアリングとフロントタイヤの舵切りを繋ぐ超重要部分です。
フロントタイヤの切れ角に影響することはもちろんですが、ステアリングシャフトが曲がるということはフロントタイヤの付近にダメージを負ったことを意味します。
購入時はパーツ交換で済んだとしても、見えないひずみがあるかもしれません。
将来的なリスクの観点からも購入は控えた方が無難でしょう。
ここまでが「もし見つかったら絶対に避けてほしい」レベルの不具合になります。
そして、ここからは「もし見つかっても部品交換やメンテナンスで対処できる」可能性があるケースです。
ぜひ参考にしてください。
リアシャフトが曲がっていないか

リアシャフトは、チェーンやギアを通じて伝わってきたエンジンの動力をリアタイヤに伝えるための部品です。
フロントタイヤのような可動性はなく、またカートは車と違ってデフもありません。
そのため、リアシャフトを軸にして左右のリアタイヤが全く同じ回転をします。
この特徴により、絶対ではないものの多少の曲がりであれば、リアシャフトを交換するだけで済む場合があります。
余談ですが、何らかの事故で左右どちらかのリアタイヤから真ん中に向かって強い力が加わり、リアシャフトの真ん中が曲がってしまうと交換にとても苦労します。
ブレーキオイルが抜けていないか、ブレーキパッドが極端に削れていないか


こちらは2つセットで解説します。
ブレーキ回りはレーシングカートのメンテナンスにおいて、最重要の部分になります。
もし問題なさそうでも購入後には必ず点検をしたほうが良いでしょう。
ブレーキを踏み込むまたは手で引っ張った際に感触が軽く、かつブレーキパッドが微動だにしない場合は空気の混入またはオイル漏れを疑いがあります。
またブレーキパッドの消耗が激しく交換時期にある場合、それが原因であることもあります。
ベアリングホルダーやその周辺のネジが抜けていないか

ベアリングホルダーのネジが緩み、リアのベアリングが外れてしまうと、安全性に問題があるため必ずチェックしましょう。
全て重要ではありますが、あえて優劣をつけるなら左のベアリング周辺が最も重要です。
なぜなら左のベアリングだけブレーキの固定も担っているためです。
身の安全のためにも必ず確認しましょう。
トニーカートの場合で説明すると、ひとつのベアリングホルダーに対して4つのネジで固定をしています。
そのため、右に2か所、左に1か所の計12個のネジでベアリングを固定しています。
またその他にも付随するネジがありますので、緩みや脱落がないか必ず確認をしておきましょう。
タンクの底が削れていないか、タンクの接地面(フロアパネル側)がひどく汚れていないか

こちらは必須というよりも参考のための確認という意味合いが強いです。
通常使用をしている限り、ガソリンタンクもフロアパネルもかなり長持ちします。
そのため、タンクが黄色く変色している、フロアパネルの汚れがひどい、という場合は長く期間使われていた可能性が高くなります。
交換しているケースもあり一概にはいえないため、他の部品の劣化具合やバランスも見ながら使用期間を推測していただければと思います。
個人的に信頼しているレーシングカートショップ(店主を知っているため)
中古カートのチェックポイントについてそれぞれ解説をしてきました。
しかし、レーシングカート初心者の方に今回の内容を実践していただくのは少々難しいのではないかと思います。
そのため、ひとつの参考としてですが、僕が直接店主の人柄を知っているカートショップをご紹介します。
もしご自宅の近くにありそうでしたらぜひ参考にしてください。
僕が東日本の者なので情報が東日本寄りになってしまったらすみません。
茨城県
K.speed WIN(https://www.facebook.com/KspeedWin/)
レーシングカートの日本上位クラスでほぼ表彰台に上がれるエンジンを提供してくれるチューナーが居るショップです。店主の川口慶太さんは控えめな性格ながら、ご自身の腕前はバカっ速です。
(っていうか20年前から老け止まってない?もしかして不老不死?)
BEMAX Racing(https://bemax-kart.jimdofree.com/)
関東でスポーツ&レジャー(SLシリーズ)カテゴリーの名門といえばココでしょう。
さらに国内有数の大型レースや全日本カテゴリーでも上位に食い込む実力派チームです。
店長の小野尾司さんはSLO認定インストラクターで教える側に立つと熱血の鬼と化します。
普段は人当たりの良い方なので、個人的に信頼できる人柄です。
栃木県
ブライオリーレーシング(http://brioly-racing.com/)
こう表現するとあれですが、個人的に植月さんがチームを立ち上げるのは意外でした。
それくらい柔和な印象の方で、初めての方にもきっと優しく接してくれるでしょう。
作業場でも笑い声の絶えない良いチームですが、たまにプロが出入りしています。
もしかしたら良いコーチに出会えるかもしれません。
(Officialサイトめちゃくちゃキレイですね)
Racing Service EffeGara(http://www.effegara.com/)
栃木県のカートチームと聞くと真っ先に名前が浮かびます。
店主の加藤さんはとても明るい人柄で、人の輪を大事にされる方だと感じています。
擬音で走り方を教えてくれるタイプが好きでしたらおすすめです。
(ちゃんと理論理屈も教えてくれます。)
千葉県
レーシングスクエアGEN(http://www.rsgen.com/)
新東京サーキットの近くにあるレーシングチームです。
練習やレースでアクシデントがあってもサーキットから10分以内で着くので安心です。
店主の安藤玄さんは厳しくも愛ある方なので、初心者にも懇切丁寧に教えてくれると思います。
チーム員も明るい方が多いので、明るい雰囲気が好きな方にはおすすめです。
東京都
Super Chips Racing Service(https://www.super-chips.jp/)
東京都内でジュニアドライバーの育成にとても定評のあるチームです。
25年前の僕がジュニアドライバーだった頃に、このチームに所属していた同じクラスのドライバーがマジでバカ速かったことを今でも強烈に覚えています。
代表の宇田川さんも業界では敏腕コーチとして超有名人ですから自信を持って推薦します。
愛知県
EIKO(https://eikoms.com/)
EIKOはカート業界有数の輸入代理店で、ROTAX MAXというエンジンを日本に卸しています。
代表の松堂さんは業界で知らない人はいないくらいの有名人なので、中部地方に住んでいる方にはぜひおすすめです。
ご自身でフレームから特注マシンを作ってしまうくらいカート愛に溢れている方です。
兵庫県
Ap speed(https://kart.sovla.co.jp/)
ドラゴコルゼのピンクバージョンであるローザドラゴコルゼの販売店でもあるこのチームは、作業場(ピット)にピンクのマシンが勢ぞろいする鮮やかなチームです。
代表の京竹さんは熱くて人情家で職人肌、まさに西日本の漢という印象です。
熱を帯びたチームが好きな人におすすめです。
ホントはもっとご紹介したい人はたくさんいるのですが、いったん現在も活動していることを確認できたチームだけに絞らせていただきました。
ご紹介したチーム以外のほかにも良いチームはまだまだたくさんありますので、ぜひご自身に合うチームを見つけてほしいと思います。
まとめ
今回の内容はいかがでしたでしょうか?
めちゃくちゃ長い記事になってしまってすみません。
必ず覚えてほしいポイントは以下の3つです。
- ヒビが入りやすい箇所
- 実際にマシンを目にする時に必ずチェックする
- ぱっと見なんとなく良い感じ、で判断しない
特にエンジン周りはエンジンセットのマシンだと隠れて見逃してしまうケースがあります。
必ずエンジンを降ろしてもらってチェックしましょう。
エンジンの積み下ろしは慣れた人なら5分もいらないので、大した手間にはならないはずです。
店主の手間も気にしなくて大丈夫なので、遠慮なく積み下ろしのお願いをしちゃってください。
今後もあなたの役に立つかもしれないコラムを書いていきますのでぜひご期待ください。
それではまた!!
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